脳・心臓疾患の労災認定基準が20年ぶりに改正された。
(R3.9.15施行)
■改正の4ポイント
1.長期間の過重労働の評価にあたり、
労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
☆改正後
発症前1ヵ月に100時間又は2~6ヵ月平均で月80時間を超える時間外労働
の水準には至らないがこれに近い時間外労働
+一定の労働時間以外の負荷要因で評価
▲改正前
発症前1ヵ月に100時間又は2~6ヵ月平均で月80時間を超える時間外労働
2.長期、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因の見直し
☆改正後(以下の項目を追加)
・休日のない連続勤務
・勤務間インターバルが短い勤務
・その他事業場外における移動を伴う業務
★改正前からある項目
・拘束時間の長い勤務
・不規則な勤務、交代制勤務、深夜勤務
・出張の多い業務
3.短期間の過重業務、異常な出来事の明確化
☆業務と発症の関連性が強いと判断できる場合として以下の例を示した。
●短期間の過重業務
・発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合
・発症前おおむね1週間継続して、深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど
過度の長時間労働が認められる場合
●異常な出来事
・業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
・事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
・生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
・著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等 を行った場合
・著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、
温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合
4.対象疾病に重篤な心不全を追加
☆改正後
心不全は心停止とは異なる病態のため、新たな対象疾病として「重篤な心不全」を 追加。
「重篤な心不全」には、不整脈によるものも含む。
▲改正前
不整脈が一義的な原因となった心不全症状等は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死 を含む)」に含めて取り扱っていた。