有期雇用契約者を途中解雇する場合の注意点

▽有期雇用契約者の途中契約解除について

 

1.2つの争点
 有期雇用契約の途中解雇の場合、次の2つの争点に留意する必要がある。

(1)解雇が有効であるか?
 整理解雇の4要件

(人員削減の必要性、解雇回避努力、手続の妥当性、被解雇者選定の妥当性)
を満たしているか。

(2)途中解雇が有効であるか?
 有期労働契約の途中解雇が有効であるためには、「やむを得ない事情」が必要である。
(労働契約法第17条、民法第628条)
 
 ★例えば、解雇が有効であっても途中解雇が無効であれば、

有期雇用契約の契約期間が満了するまでは、労働者としての地位(身分)を保障し、

会社には賃金の支払い義務などが生じる。

2.関連法令
(1)労働契約法
第17条 使用者は、期間の定めのある労働契約について、

やむを得ない事由がある場合でなければ、
その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

(2)民法
第628条(契約期間中の雇用保障)
 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、

各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる

3.参考となる主な裁判例
安川電機八幡工場(パート解雇)事件(福岡高裁H14.9.18)
 有期契約労働者の契約期間中の解雇について、

事業の縮小その他やむを得ない事由が発生したときは

契約期間中といえども解雇する旨定めた就業規則の解釈にあたっては、

解雇が雇用期間の中途でなされなければならないほどの

やむを得ない事由の発生が必要であるべきとした。

4.その他
 労働契約書に途中契約の解除を明記したとしても、争いとなった場合には

「やむを得ない事情」がなければ、途中解除は無効となる可能性が大であると考える。

 

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