◆有期契約労働者のよりよい雇用管理に向けて
事業主は、有期契約労働者に対し、よりよい雇用管理の実施を図るために、次に掲げる
項目について、各事業所の状況に応じて、適宜必要な項目について配慮することが望ましい。
1.安定的な雇用関係に配慮した雇用環境の整備
事業主は、契約期間中にやむを得ない事由により解雇する場合又は契約の更新により
3年以上引き続き雇用されている者について期間満了による雇止めを行う場合には、
有期契約労働者についても、公共職業安定所(ハローワーク)に再就職援助計画を提出
するとともに、再就職に関する支援を行うことが望ましい。
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2.労働条件等の改善のための事項
①事業主は、労働者が納得して就職できるよう、募集・採用に当たり、労働条件について、
十分な情報を明示することが望ましい。
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②事業主は、有期契約労働者が仕事に意欲的に取り組み、その能力を高めていけるよう、
仕事内容や処遇等について話し合う機会や相談窓口を設けたり、職業生活全体に関する
個人面談等を積極的に取り入れることが望ましい。
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③事業主は、就労による経済的自立が可能な社会や、家族などとの充実した時間や
地域活動へ参加する時間などを確保できる社会、子育てや親の介護の状況に応じた多様な
働き方が選択できる社会を目指した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」
及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の趣旨に配慮することが望ましい。
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3.キャリアパスへの配慮等
①事業主は、有期契約労働者に対して次のことを行うことが有意義であると考えられる。
ア.具体的かつ明確に多様なキャリアパスを示すこと。
イ.有期契約労働者の希望に応じて職務経験の機会を付与し、その従事した職務の内容や
実績を評価するとともに、その結果を処遇の向上に活用するほか、当該労働者にも評価の
結果を伝えつつ将来のキャリアパスに関する相談に応ずること。
併せて、有期契約労働者の評価を行うための評価者の訓練等も実施すること。
ウ.より高度な知識や技能を必要とし、又はより高度な責任を負う職務への転換を希望する
場合において、これが可能となる制度、労働条件等を整備すること。
エ.有期契約労働者から正社員に登用された後の処遇についても、可能な限り、
登用者の能力・経験、有期労働者としての勤続等を踏まえて、賃金等において
適正な処遇となるよう配慮すること。
オ.有期契約労働者から正社員への移行を円滑化するため、職務や人事異動の範囲が限定
されるものの期間の定めがない雇用区分を設けることを検討すること。また、正社員登用
希望者を対象に、正社員の業務を一定期間体験する機会を設ける等の配慮を行うこと。
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②事業主は、有期契約労働者がフリーター等の若者である場合には、就職氷河期に
正社員になれず、職業能力形成機会に恵まれなかった者が多いことに鑑み、教育訓練の
実施について配慮すること。
また、事業主は、そうした若者に対し正社員への登用の可能性が与えられるような仕組み
を検討するとともに、登用に当たっては、その有する適性や能力等を正当に評価し、
その将来性も含めて長期的な視点に立って判断するなどの配慮をすることが望ましい。
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4.教育訓練・能力開発の機会の付与
事業主は、有期契約労働者に対して次のことを行うことが望まれる。
①職業能力の開発及び向上を図るため、教育訓練に係る設備、プログラムの充実等
に留意して、計画的に教育訓練等を実施すること。
②職務に関連する資格である場合、職業能力検定等を受けるための休暇の付与や
時間の確保等の必要な援助を行うこと。
③業務の遂行に必要な技能及び知識等に関する情報の提供、相談の機会の確保、
実務経験を通じて職業能力の開発・向上を図ることができるような配置等の雇用管理
について配慮すること。
④職務経験、教育訓練等により高められた労働者の職業能力を適正に評価し、
賃金その他の労働条件に適切に反映させること。
⑤正社員の登用に当たり、登用者に対する研修を実施するなど、
登用者が円滑に正社員に移行できるよう配慮すること。
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5.法令の遵守のための体制の整備
事業主は、法令遵守を徹底できる労務管理、生産管理等の事業の体制の整備及び
改善を図ることが望ましい。