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▽労働基準法が一部改正。
1.時間外労働の割増賃金率が引上げられる。
(改正の目的→時間外労働の削減)
(1)1ヶ月の時間外労働が45時間超の場合(企業規模関係なし)
⇒労使で25%超引上げ・時間短縮(努力義務)
(2)1ヶ月の時間外労働が60時間超の場合(中小企業は猶予*)
⇒50%(労使協定により、引上げ差25%は有給休暇付与も可能)
*(2)については、中小企業に対しては猶予措置とし、3年後に改めて検討。
△深夜労働との関係
深夜(22:00~5:00)の時間帯に
1ヶ月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は、
深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%以上=75%以上となる。
△法定休日労働との関係
1ヶ月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日に行った労働は含まれない。
2.特別条項付き36協定が変わる。
限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3ヶ月以内の期間、1年間)ごとに、
割増賃金率を定めなければならない。
△36協定における特別条項の例
「一定期間についての延長時間は1か月45時間、1年360時間とする。
ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、
労使の協議を経て、6回を限度として1ヶ月60時間まで延長することができ、
1年450時間まで延長することができる。なお、延長時間が
1ヶ月45時間を超えた場合又は1年360時間を超えた場合の割増賃金率は25%
とする。」
3.代替休暇制度
1ヶ月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、
労使協定締結により、引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与
することができる。
(1)代替休暇の時間数の具体的な算定方法
・代替休暇の時間数=(1ヶ月の法定時間外労働時間数-60)×換算率(※)
・(※)換算率=代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率
-代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率
△例(1ヶ月の法定時間外労働が92時間の場合)
・代替休暇の時間数=(92-60)h×(50-25)%=8h
(2)代替休暇の単位
まとまった単位で与えることによって労働者の休息の機会を確保する観点から
1日、半日、1日または半日のいずれかによって与える。
(3)代替休暇を与えることができる期間
法定時間外労働が1ヶ月60時間を超えた月の末日の翌日から2ヶ月間以内。
4.年次有給休暇を時間単位で取得
(改正の目的→年次有給休暇の有効活用)
現行、年次有給休暇は日単位で取得とされているが、労使協定締結により、
1年に5日分を限度として時間単位で取得できる。
*年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、
労働者が自由に選択できる。
5.コメント
●月60hを超える残業の場合、法定休日に労働させた方がコスト安となる計算になる。
●代替休暇1日を取得するには時間外労働92時間かかる。又、手続きや管理など
運用面でも煩雑となることから、二の足を踏み、見送る企業が大多数である。
■労働基準法改正(概要図)■ |