▽労働契約法20条(不合理な労働条件の禁止)に関する判例
■ハマキョウレックス事件(概要)
契約社員(56歳)が、同じ仕事をしている正社員と待遇に差があるのは、
労働契約法20条が禁じる「不合理な格差」に当たるとして、
差額賃金の支払いを求めた。
★ポイント
1.賃金は、項目ごとに趣旨が異なるため総額だけではなく、項目の趣旨を個別に
考慮すべきだ。
2.賃金格差が不合理だとしても、正社員と同じ賃金体系を自動的に適用する
理由はなく、不法行為に対する損害賠償として差額支払いのみを認める。
☆判決
1.判断の対象となった6つの手当について項目ごとに検討し、大阪高裁判決で
格差が違法とした4つの手当以外に皆勤手当も格差が不合理で違法だとし
賠償を命じた。
2.住宅手当については、正社員と契約社員の間に転勤の有無の差があることを
踏まえ、契約社員に支給しないのは不合理とはいえない。
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正社員 |
契約社員 |
不合理性 |
無事故手当 |
1万 |
なし |
○有 |
作業手当 |
1万 |
なし |
○有 |
給食手当 |
3.5千円 |
なし |
○有 |
住宅手当 |
2万円 |
なし |
×無 |
皆勤手当 |
1万円 |
なし |
○有 |
家族手当 |
5千円 |
なし |
△ |
通勤手当 |
通勤距離に応じて |
3千円 |
○有 |
▲経緯
1審
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通勤手当の格差は不合理 (大津地裁彦根支部H27.9.16) |
2審
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無事故手当、作業手当、給食手当、 通勤手当の格差は不合理 (大阪高裁H28.7.26) |