労働契約法改正、不合理な労働条件の禁止(第20条)

▼平成25年4月1日施行

 

 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、

期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール。

 

△条文

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第20条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、

     期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結

     している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、

     当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度

     (職務の内容)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、

     不合理と認められるものであってはならない。

 

△以下、通達(H24.8.10基発0810第2号)より 

■対象となる労働条件

 一切の労働条件について、適用される。

 賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、

労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、

労働者に対する一切の待遇が含まれる。

 

■同一の使用者

 「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうもので

あり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば

法人単位で判断される。

 

■判断の方法

 労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、

以下①~③を考慮して、個々の労働条件ごとに判断される。

①職務の内容(業務の内容および当該業務に伴う責任の程度)

→労働者が従事している業務の内容および当該業務に伴う責任の程度を指す。

②当該職務の内容および配置の変更の範囲

→今後の見込みも含め、転勤、昇進といった人事異動や本人の役割の変化など

(配置の変更を伴わない職務の内容の変更を含む)の有無や範囲を指す。

③その他の事情

→合理的な労使の慣行などの諸事情が想定される。

 

▲とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、

上記①~③を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないと解される。

 

△参考例

 定年後に有期労働契約で継続雇用された労働者の労働条件が定年前の他の

無期契約労働者の労働条件と相違することについては、定年の前後で、

上記①、②等が変更されることが一般的であることを考慮すれば、

特段の事情がない限り不合理と認められないと解される。

 

■効果

・この規定は、民事的効力のある規定で、法第20条により不合理とされた

労働条件の定めは無効となり、故意・過失による権利侵害

すなわち不法行為として損害賠償が認められ得ると解される。

・この規定により、無効とされた労働条件については、基本的には、無期契約労働者と同じ

労働条件が認められると解される。

 

◇参考判例

ハマキョウレックス事件

 

長澤運輸事件

 

メトロコマース事件

 

日本郵便事件

 

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