労働施策総合推進法(パワーハラスメントに関する改正部分)
▽令和2年6月1日施行時点
(雇用管理上の措置等)
第30条の2 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力し
た際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをして
はならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ
有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとす
る。
4 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くも
のとする。
5 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6 前二項の規定は、指針の変更について準用する。
(国、事業主及び労働者の責務)
第30条の3 国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならな
いことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対
する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置
を講ずるように努めなければならない。
2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、
当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要
な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対
する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならな
い。
4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な
注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならな
い。
(紛争の解決の促進に関する特例)
第30条の4 第30条の2第1項及び第2項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛
争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条、第5条及び第12条から
第19条までの規定は適用せず、次条から第30条の8までに定めるところによる。
(紛争の解決の援助)
第30条の5 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。
(調停の委任)
第30条の6 都道府県労働局長は、第30条の4に規定する紛争について、当該紛争の当事者の
双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると
認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員
会に調停を行わせるものとする。
2 第30条の2第2項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
(調停)
第30条の7 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第19条
から第26条までの規定は、前条第1項の調停の手続について準用する。この場合において、
同法第19条第1項中「前条第1項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇
用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の6第1項」と、同法第30条中「事業場」
とあるのは「事業所」と、同法第25条第1項中「第18条第1項」とあるのは「労働施策の総合的
な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の4」と読み
替えるものとする。
(厚生労働省令への委任)
第30条の8 前二条に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で
定める。
(助言、指導及び勧告並びに公表)
第33条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、
助言、指導又は勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第30条の2第1項及び第2項(第30条の5第2項及び第30条の6第2項に
おいて準用する場合を含む。第35条及び第36条第1項において同じ。)の規定に違反している
事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従
わなかつたときは、その旨を公表することができる
(報告の請求)
第36条 厚生労働大臣は、事業主から第30条の2第1項及び第2項の規定の施行に関し必要な事項について報告を求めることができる。
2 都道府県知事又は公共職業安定所長は、職業転換給付金の支給を受け、又は受けた者か
ら当該給付金の支給に関し必要な事項について報告を求めることができる。
第41条 第36条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の
過料に処する。