▽労働契約法第7条(労働契約の内容と就業規則の関係)に関する判例
■フジ興産事件(概要)
就業規則に基づき労働者を懲戒解雇したが、懲戒事由に該当するとされた労働者の
行為の時点では就業規則は周知されていなかった事例で、
就業規則が拘束力を生ずるためには、その内容の適用を受ける事業場の労働者に周知
させる手続きが採られていることを要するとして、懲戒解雇を有効とした原審を破棄し、
差し戻した。
★ポイント
1.原審は、会社が、労働者代表の同意を得て就業規則を制定し、これを
労働基準監督署長に届け出た事実を確定したのみで、労働者に周知させる手続が
採られていることを認定しないまま、就業規則に法的規範としての効力を肯定し、
本件懲戒解雇が有効であると判断している。
2.原審のこの判断には、審理不尽の結果、法令の適用を誤った違法がある。
☆判決
「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び
事由を定めておくことを要する(国労札幌支部事件)。」
「就業規則が法的規範としての性質を有する〈秋北バス事件)ものとして、
拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる
手続が採られていることを要する」