(出向)
第14条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、
当該出向の命令が、
その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、
その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
■コメント
権利濫用に該当する出向命令の効力について規定
●出向の命令が権利を濫用したものと認められる場合には無効となる。
★権利濫用であるか否かの判断は、次の点が考慮される。
●出向を命ずる必要性
●対象労働者の選定に係る事情その他の事情
●第14条の出向とは、在籍型出向をいう。
(懲戒)
第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、
当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合
は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
■コメント
権利濫用に該当するものとして無効となる懲戒の効力について規定
●「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」
には、権利濫用に該当するものとして無効となる。
●判断基準として、労働者の行為の性質及び態様その他の事情が考慮される。
☆懲戒は、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同義であり、同条により、
懲戒の定めがある場合にはその種類及び程度について就業規則に記載が
義務付けられている。
△労働基準法(第9章就業規則)
(作成及び届出の義務)
第89条
9.表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められ
ない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
■コメント
権利濫用に該当する解雇の効力について規定
●「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」
には、権利濫用に該当するものとして無効。
☆最高裁判所判決で確立している、いわゆる解雇権濫用法理を規定
△改正前の労働基準法第18条の2と同内容
(労働契約法第16条に異動)
●解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて
使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない。
◇参考判例