労使協定(労働者派遣法30条の4第1項)イメージ

令和2年1月14日厚生労働省公表版

(※別表省略)

 

労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定(イメージ)

  ○○人材サービス株式会社(以下「甲」という。)と○○人材サービス労働組合(以下「乙」という。)は、労働者派遣法第30条の4第1項の規定に関し、次のとおり協定する。

  

(対象となる派遣労働者の範囲)←法第30条の4第1項第1号「適用される派遣労働者の範囲」+第6号「その他厚生労働省令で定める事項」の一部

 

第1条 本協定は、派遣先でプログラマーの業務に従事する従業員(以下「対象従業員」という。)に適用する。

2 対象従業員については、派遣先が変更される頻度が高いことから、中長期的なキャリア形成を行い所得の不安定化を防ぐ等のため、本労使協定の対象とする。

3 甲は、対象従業員について、一の労働契約の契約期間中に、特段の事情がない限り、本協定の適用を除外しないものとする。

 

【労働契約期間によって対象を限定する場合の例】

第1条 本協定は、期間を定めないで雇用される派遣労働者(以下「対象従業員」という。)に適用する。

 

 ※ 一の労使協定に、複数の職種を記載することも可能。ただし、各職種において、一般賃金 の額と協定派遣労働者の賃金の額が同等以上であることを確認できることが必要。 

【一の労使協定に複数の職種を記載する場合の記載例】

・第1条 本協定は、派遣先でプログラマー及びシステムエンジニアの業務に従事する従業員(以下「対象従業員」という。)に適用する。

・第1条 本協定は、派遣先で別表○に掲げる業務に従事する従業員(以下「対象従業員」という。)に適用する。

 

 (賃金の構成)

第2条 対象従業員の賃金は、基本給、賞与、時間外労働手当、深夜・休日労働手当、通勤手当及び退職手当とする。

 

 (賃金の決定方法) ←第2号イ「賃金の決定方法」 

第3条 対象従業員の基本給及び賞与の比較対象となる「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」は、次の各号に掲げる条件を満たした別表1の「2」のとおりとする。

 

【職種が複数あり、かつ派遣先の事業所所在地が複数地域となる可能性のある場合の記載例】

第3条 対象従業員の基本給及び賞与の比較対象となる「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」は、次の各号に掲げる条件を満たす別表1に、対象従業員が勤務する派遣先の事業所所在地に対応する別表2の地域指数を乗じたものとする。

 

   ※ P10の別表「【職種が複数あり、かつ派遣先の事業所所在地が複数地域となる可能性のある場合の記載例】」も参照。

 

 (一)比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、令和元年7月8日職発0708第2号「令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について」(以下「通達」という。)に定める「平成30年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)の「プログラマー」とする。

 

※ 次の①~③の場合には、その理由を労使協定に記載することが必要

 

① 職種ごとに通達別添1と別添2を使い分ける場合

② 通達別添2を用いる場合であって、次のように職業分類を使い分ける場合

・ 「大分類」と「当該大分類内の中分類又は小分類」

・ 「中分類」と「当該中分類内の小分類」

 

③ 通達で示したデータ以外の独自統計等(通達第5)を用いる場合

※ 職種については、別添1又は別添2のうち、協定対象派遣労働者が従事する業務と最も近いと考えられるものを選択すること。

【①職種ごとに通達別添1と別添2を使い分ける場合の記載例】

(1) 「プログラマー」における比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、令和元年7月8日職発0708第2号「令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について」(以下「通達」という。)別添1に定める「プログラマー」とする。

(2) 「事務販売員」における比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、通達別添2に定める「小売店販売員」とする。

(3) (1)については、実際に支払われていた賃金額である別添1を使用し、(2)については、派遣先が総合スーパーなどの大規模の店舗だけでなく小規模の店舗も想定していることから、業務の実態を踏まえ最も適合する職種がある別添2を使用するものとする。

 

 

【②通達別添2を用いる場合であって、職業分類を使い分ける場合の記載例】

(1)「秘書」における比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、令和元年7月8日職発0708第2号「令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について」(以下「通達」という。)別添2に定める「255秘書」とする。

(2)「事務」における比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、通達別添2に定める「25一般事務員」とする。

(3)(1)については、業務の実態を踏まえ最も適合する職種がある小分類を使用し、(2)については、業務の実態から複数の業務に従事する可能性があることから中分類を使用するものとする。

 

 

【③通達で示したデータ以外の独自統計等を用いる場合の記載例】

(1)「○○事務」における比較対象となる同種の業務に従事する一般の労働者の職種は、通達別添○の「○○」の職種と対象従業員が実際に行う業務との間に乖離があることから、令和元年○月○日に○○が実施した「○○調査」を使用するものとする。

 

 

 (二)通勤手当については、基本給及び賞与とは分離し実費支給とし、第6条のとおりとする。

  ※ 定額支給等で合算する場合は、第6条の「一般の労働者の通勤手当に相当する額と「同等以上」を確保する場合」の方法をとることにしているが、一般通勤手当72円とならない場合の記載例」及びP10「退職金(退職金前払いの方法)や通勤手当を合算する場合の記載例」も参照。

 (三)地域調整については、就業地が北海道内に限られることから、通達に定める

   「地域指数」の「北海道」を用いるものとする。

  

 ※ 一つの労使協定において、都道府県内の指数及び公共職業安定所管轄地域の指数を使い分ける場合には、その理由を労使協定に記載すること。

【地域指数を使い分ける場合の例】

(3)地域調整については、埼玉県、千葉県、東京都の就業地で派遣就業を行うことから、通達別添3に定める埼玉、千葉、東京の指数を使うものとする。ただし、東京都、千葉県は複数の市区町村の派遣先において就業を行うことから、都道府県の指数を使用し、埼玉県は主に●●市内において就業を行うことから、公共職業安定所管轄地域の指数を用いるものとする。

 

    ※ 一つの労使協定において、複数の地域において就業することが想定され、複数の一

    般賃金との比較が必要な場合は、最も高い地域指数を乗じた一般賃金額と、協定対象派

    遣労働者の賃金額を比べる方法でも差し支えない。ただし、その際、協定対象派遣労働

    者の賃金額は、全ての者がその額の水準以上であることが必要。(労使協定方式に関す

    るQ&A【第2集】問2-3)

 

【複数の地域指数のうち、最も高い指数を使って比較する場合の例】

(三)地域調整については、就業地が埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、大阪府の各市町村内が想定されることから、通達別添3に定める埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、大阪府の都道府県内の公共職業安定所管轄地域の指数を用いるものとする。

(四)別表2の対象従業員の基本給及び賞与の比較対象となる「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」については、前項のうち、最も高い指数を持つ三鷹の指数により算出するものとする。

(五)別表2の対象従業員の基本給及び賞与については、すべての対象従業員に適用されるものとする。ただし、別表2の対象従業員の基本給及び賞与に加え、派遣先の就業場所に応じて、別途勤務地手当を支給するものとする。

 

 第4条 対象従業員の基本給及び賞与は、次の各号に掲げる条件を満たした別表2のとおりとする。

  1. 別表1の同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額と同額以上であること

  2. 別表2の各等級の職務と別表1の同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額との対応関係は次のとおりとすること

    Aランク:10

    Bランク:3年

    Cランク:0年

 

 

 ※ 職務給において職務の等級と基準値及び基準値に能力・経験調整指数を乗じた値とを対応させて比較する場合の一例である。 

【派遣先の事業所所在地が複数地域となる可能性があるが、各地域で共通する賃金表を使いつつ、地域係数を用いて協定対象派遣労働者の賃金を調整する場合】

第4条 対象従業員の基本給及び賞与は、次の各号に掲げる条件を満たしものとする。

 (1)(2) (略)

 (3)対象従業員の基本給及び賞与については、別表○の賃金表に、対象従業員が勤務する派遣先事業所の所在地に対応する別表○の地域係数を乗じたものとする。

 

    ※ P 12の別表「【派遣先の事業所所在地が複数地域となる可能性があるが、各地域で共通する賃金表を使いつつ、地域係数を用いて協定対象派遣労働者の賃金を調整する場合】」も参照。

  

2 甲は、第9条の規定による対象従業員の勤務評価の結果、同じ職務の内容であったとしても、その経験の蓄積・能力の向上があると認められた場合には、基本給額の1~3%の範囲で能力手当を支払うこととする。

また、より高い等級の職務を遂行する能力があると認められた場合には、その能力に応じた派遣就業の機会を提示するものとする。 ←第2号ロ「職務内容等の向上があった場合の賃金の改善」

 

 ※ 第2号ロ「職務内容等の向上があった場合の賃金の改善」の内容には、上記の他にも

  様々な方法が考えられる。

【等級で能力・経験調整指数を使い、号俸(昇給レンジ)で第2号ロ「職務内容等の向上があった場合の賃金の改善」を使う場合の記載例】

2 甲は、第9条の規定による対象従業員の勤務評価の結果、同じ職務の内容であったとしても、その経験の蓄積・能力の向上があると認められた場合には、昇給は勤務成績等に応じて1号俸から5号俸までの範囲内で決定するものとする。

 

 

第5条 対象従業員の時間外労働手当、深夜・休日労働手当は、社員就業規則第○条に

   準じて、法律の定めに従って支給する。

 

第6条 対象従業員の通勤手当は、通勤に要する実費に相当する額を支給する。 

【通勤手当の支給要件に「徒歩圏」を設けている場合の記載例】

第6条 対象従業員の通勤手当は、通勤に要する実費に相当する額を支給する。ただし、交通機関等を利用しなければ通勤することが困難である従業員以外の従業員であって交通機関等を利用しないで徒歩により通勤するものとした場合の通勤距離(一般に利用しうる最短の経路の長さによる。)が片道2㎞未満であるものを除く。

  

【「一般の労働者の通勤手当に相当する額と「同等以上」を確保する場合」の方法をとることにしているが、一般通勤手当72円とならない場合の記載例】

第6条 通勤手当は、月額○千円を全対象従業員に支給する。

2 一般通勤手当との差額については、通達第3の4に基づく合算による比較方法により対応するものとする。

 

第7条 対象従業員の退職手当の比較対象となる「同種の業務に従事する一般の労働者

   の平均的な賃金の額」は、次の各号に掲げる条件を満たした別表3のとおりとす

   る。

  (一)退職手当の受給に必要な最低勤続年数:

    通達に定める「平成30年中小企業の賃金・退職金事情」(東京都)の「退職一時

   金受給のための最低勤続年数」において、最も回答割合の高かったもの(自己都

   合退職及び会社都合退職のいずれも3年)

  (二)退職時の勤続年数ごと(3年、5年、10年、15年、20年、25年、30年、33年)

   の支給月数:

「平成30年中小企業の賃金・退職金事情」の大学卒の場合の支給率(月数)に、同調査において退職手当制度があると回答した企業の割合をかけた数値として通達に定めるもの

 

【退職金前払いの方法をとる場合の記載例】

第7条 対象従業員に対して、別表○の一般基本給・賞与等の額の6%の額を前払い退職金として支給する。

 

【中小企業退職金共済制度等への加入の方法をとる場合の記載例】

第7条 対象従業員の退職手当は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部との間に退職金共済契約を締結するものとする。

2 前項の掛金月額は、別表〇の一般基本給・賞与等の総額の6%の額以上の掛金拠出とし、支給方法などを含む詳細は退職金規則の定めによるものとする。

 

【中小企業退職金共済制度等への加入の方法をとることにしているが、一般基本給・賞与等の額の6%の額とならない場合の記載例】

第7条 対象従業員の退職手当は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部との間に退職金共済契約を締結するものとする。

2 前項の掛金月額は、別表〇の一般基本給・賞与等の総額の4%の額以上となるようにし、支給方法などを含む詳細は退職金規則の定めによるものとする。

・3 別表○の一般基本給・賞与等の額の6%の額と前項の掛金の額との差額については、退職金前払いの方法により対応するものとする。

・3 別表○の一般基本給・賞与等の額の6%の額と掛金の額(4%)との差額については、通達第3の4に基づく合算による比較方法により対応するものとする。

 

【退職一時金の費用を「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」で見る場合の記載例】

第7条 対象従業員の退職手当は、別途定める退職金規則に従って支給する。

2 前項の退職手当の費用は、別表○の一般基本給・賞与等の総額の6%の額以上のものとし、その計算方法については労使の協議により別途定める。

 

【退職金の支払いの方法を労働者の区分ごとで使い分ける場合の記載例】

第7条 対象従業員に対して、○○の従業員は第○条及び第○条に規定する退職金制度に従って支給し、○○の従業員は別表○の一般基本給・賞与等の額の6%の額を前払い退職金として支給する。

 

第8条 対象従業員の退職手当は、次の各号に掲げる条件を満たした別表4のとおりとする。ただし、退職手当制度を開始した○○年以前の勤続年数の取扱いについては、労使で協議して別途定める。

 (一)別表3に示したものと比べて、退職手当の受給に必要な最低勤続年数が同年数

   以下であること

 (二)別表3に示したものと比べて、退職時の勤続年数ごとの退職手当の支給月数が

   同月数以上であること

  

 (賃金の決定に当たっての評価) ←第3号「賃金の決定に当たっての評価」

 第9条 賞与の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価の方法は社員就

   業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、別表2の備考1の

   とおり、賞与額を決定する。

 

【基本給の評価の記載例】

第9条 基本給の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価の方法は社員就業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、第4条第2項の昇給の範囲を決定する。

 

  (賃金以外の待遇) ←第4号「賃金以外の待遇」

 10条 教育訓練(次条に定めるものを除く。)、福利厚生その他の賃金以外の待遇に

   ついては正社員と同一とし、社員就業規則第○条から第○条までの規定を準用す

   る。

 

【正社員と別規程を使用している場合の記載例】

10条 教育訓練(次条に定めるものを除く。)、福利厚生その他の賃金以外の待遇については、正社員に適用される〇〇就業規則第〇条から〇条までの規定と不合理な待遇差が生じることとならないものとして、〇〇就業規則第○条から第○条までの規定を適用する。

 

 (教育訓練) ←第5号「教育訓練」

11条 労働者派遣法第30条の2に規定する教育訓練については、労働者派遣法に基づき別途定める「○○社教育訓練実施計画」に従って、着実に実施する。

 

 (その他)

 12条 本協定に定めのない事項については、別途、労使で誠実に協議する。

 

 (有効期間) ←第6号「その他厚生労働省令で定める事項」

 13条 本協定の有効期間は、○日から○日までの年間とする。

 ※ 労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変更された場合には、有効期間中であっても、労使協定に定める派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額であるか否か確認することが必要。

  その結果、派遣労働者の賃金の額が次年度の一般賃金の額と同等以上の額でない場合には、労使協定に定める賃金の決定方法を変更するために労使協定を締結し直さなければならない。

  一方、派遣労働者の賃金の額が次年度の一般賃金の額と同等以上の額である場合には、派遣元事業主が、同等以上の額であることを確認した旨の書面を労使協定に添付することで差し支えない。

 

  

 ○○年

                                   甲 取締役人事部長  ○○○○ 印

                                   乙 執行委員長    ○○○○ 印

 

 

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