4.個人番号の提供の要求

1.事業者は、「内定者」に個人番号の提供を求めることはできるか。
→いわゆる「内定者」については、その立場や状況が個々に異なることから一律に取り扱うことはできないが、例えば、「内定者」が確実に雇用されることが予想される場合(正式な内定通知がなされ、入社に関する誓約書を提出した場合等)には、その時点で個人番号の提供を求めることができると解される。

 

1-2.個人番号関係事務実施者である事業者(事業者から個人番号を収集する事務の委託を受けた者を含む。)は、従業員等の家族全員の個人番号を収集することができるか。
→個人番号関係事務を処理するために必要がある場合に限って、本人又は他の個人番号関係事務実施者に対して個人番号の提供を求めることができる。
したがって、例えば、家族であっても社会保障や税における扶養親族に該当しない者などは、事業者として個人番号関係事務を処理する必要がないことから、それらの者の個人番号の提供を求めることはできない。(平成27年8月追加)


2.不動産の使用料等の支払調書の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が所得税法の定める一定の金額を超えるものとなっているが、その一定の金額を超えない場合は個人番号の提供を求めることはできないか。
→不動産の賃貸借契約については、通常、契約内容で一か月当たりの賃料が定められる等、契約を締結する時点において、既にその年中に支払う額が明確となっている場合が多いと思われる。したがって、契約を締結する時点で、契約内容によってその年中の賃料の合計が所得税法の定める一定の金額を超えないことが明らかな場合には、支払調書の提出は不要と考えられるので、契約時点で個人番号の提供を求めることはできない。
一方、年の途中に契約を締結したことから、その年は支払調書の提出が不要であっても、翌年は支払調書の提出が必要とされる場合には、翌年の支払調書作成・提出事務のために当該個人番号の提供を求めることができると解される。


3.親会社が、子会社の従業員に対しストックオプションを交付している場合、親会社は、従業員が子会社に入社した時点で個人番号の提供を求めることはできるか。
→子会社の従業員等となった時点で、子会社との雇用関係に基づいて親会社からストックオプションの交付を受けることが予想されるのであれば、個人番号関係事務を処理する必要性があるものと認められるので、親会社においてはその時点で個人番号の提供を受けることができると解される。


4.従業員持株会は、従業員が所属会社に入社した時点で、その従業員に個人番号の提供を求めることはできるか。また、所属会社経由で個人番号の提供を受けることはできるか。
→従業員等がまだ株主となっていない時点では、個人番号関係事務の処理のために必要がある場合とはいえないので、持株会が従業員等に個人番号の提供を求めることはできない。従業員等が株主となり持株会に入会した時点で、当該従業員等に対し、個人番号の提供を求めることとなる。
また、持株会が個人番号の収集・本人確認事務を所属会社に委託している場合は、持株会が所属会社経由で従業員等の個人番号の提供を受けることができる。


5.人材派遣会社は、派遣登録を行う時点で、登録者の個人番号の提供を求めることはできるか。
→材派遣会社に登録したのみでは、雇用されるかどうかは未定で個人番号関係事務の発生が予想されず、いまだ給与の源泉徴収事務等の個人番号関係事務を処理する必要性が認められるとはいえないため、原則として登録者の個人番号の提供を求めることはできない。
ただし、登録時にしか本人確認をした上で個人番号の提供を求める機会がなく、実際に雇用する際の給与支給条件等を決める等、近い将来雇用契約が成立する蓋然性が高いと認められる場合には、雇用契約が成立した場合に準じて、個人番号の提供を求めることができると解される。


6.従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいか。
→法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求める。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておく。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できない。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録が必要である。
なお、法定調書などの記載対象者全てが個人番号を持っているとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできないので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはない(国税庁ホームページ「法定調書に関するFAQ」(Q1-3)参照)。(平成27年10月追加)

5.個人番号の提供の求めの制限、特定個人情報の提供制限

1.「他人」の定義における「同一の世帯」とは、住民票上における同じ世帯と解釈してよいか。
→「世帯」とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持する単身者と定義されている(国勢調査令第2条第2項参照)。番号法においては前者を指すものと解される。

1-2.税や社会保障の手続に関して個人番号関係事務実施者となる事業者は、平成28年1月(個人番号の利用開始)以前に、従業員等から個人番号を収集することは可能ですか。
→個人番号の通知を受けている本人から、平成28年1月から始まる個人番号関係事務のために、あらかじめ個人番号を収集することは可能である。(平成27年4月追加)

2.従業員等本人に給与所得の源泉徴収票を交付する場合において、その従業員等本人や扶養親族の個人番号を記載して交付してよいか。
本人交付用の給与所得の源泉徴収票については、平成27年10月2日に所得税法施行規則第93条が改正され、その本人及び扶養親族の個人番号を記載しないこととされた。したがって、その本人及び扶養親族の個人番号を記載していない源泉徴収票を本人に交付することとなる。
なお、個人情報保護法第25条に基づき、本人から自身の個人番号を含む情報として源泉徴収票などの開示の求めがあった場合には、本人の個人番号を記載して開示することが可能である。(平成27年10月更新)


3.住宅の取得に関する借入れ(住宅ローン)等で個人番号が記載された給与所得の源泉徴収票を使用することはできるか。
本人交付用の給与所得の源泉徴収票については、平成27年10月2日に所得税法施行規則第93条が改正され、その本人及び扶養親族の個人番号が記載されていない源泉徴収票の交付を受けることとなる。
なお、個人情報保護法第25条の開示の求めに基づく個人番号が記載された源泉徴収票を住宅の取得に関する借入れ(住宅ローン)等で活用する場合には、個人番号部分を復元できない程度にマスキングする等の工夫が必要となる。(平成27年10月更新)


4.所得税法等により本人に交付することが義務付けられている支払通知書(配当等とみなす金額に関する支払通知書等)にも個人番号を記載して交付してよいか。
所得税法等により本人に交付することが義務付けられている支払通知書(配当等とみなす金額に関する支払通知書等)については、平成27年10月2日に所得税法施行規則等が改正され、本人の個人番号を記載しないで本人に交付することとされた。したがって、個人番号を記載していない支払通知書を本人に交付することとなる。
なお、個人情報保護法第25条に基づき、本人から自身の個人番号を含む情報として支払通知書などの開示の求めがあった場合には、本人の個人番号を記載して開示することが可能である。(平成27年10月更新)


5.公認会計士又は監査法人が、監査手続を実施するに当たって、監査を受ける事業者から特定個人情報の提供を受けることは、提供制限に違反するか。
→会社法第436条第2項第1号等に基づき、会計監査人として法定監査を行う場合には、法令等の規定に基づき特定個人情報を取り扱うことが可能と解される。
一方、金融商品取引法第193条の2に基づく法定監査等及び任意の監査の場合には、個人番号関係事務の一部の委託を受けた者と して番号法第19条第5号により、特定個人情報の提供を受けることが可能と解される。

6.財産形成住宅貯蓄・財産形成年金貯蓄の非課税に関する申込書は、法令に基づき、勤務先等を経由して金融機関に提出されることとなっている。この場合、勤務先等及び金融機関がそれぞれ個人番号関係事務実施者となり、勤務先等は本人から提供を受けた特定個人情報を、金融機関に対して提供すると考えてよいか。
→個人番号が記載された申込書が、法令に基づき、勤務先等を経由して金融機関に提出される場合、勤務先等及び金融機関がそれぞれ個人番号関係事務実施者となり、勤務先等は本人から提供を受けた特定個人情報を、金融機関に対して提供することとなる。なお、本人確認の措置は、勤務先等が本人から個人番号の提供を受ける際に実施することとなる。
 

7.個人情報取扱事業者でない個人番号取扱事業者であっても、本人の開示の求めに応じて、本人に特定個人情報を提供することはできるか。
→個人情報取扱事業者でない個人番号取扱事業者が、本人からの求めに応じて任意に特定個人情報の開示を行う場合には、特定個人情報の提供が認められるものと考えられる。

8.支払調書等の写しを本人に送付することはできますか。
→個人情報保護法第25条に基づいて開示の求めを行った本人に開示を行う場合は、支払調書等の写しを本人に送付することができる。その際の開示の求めを受け付ける方法として、書面による方法のほか、口頭による方法等を定めることも考えられる。なお、当該支払調書等の写しに本人以外の個人番号が含まれている場合には、本人以外の個人番号を記載しない措置や復元できない程度にマスキングする等の工夫が必要となる。

 

8-2.個人番号を記載しなければ、支払調書等の写しを本人に送付することはできるか。
→本人の個人番号を含めて全ての個人番号を記載しない措置や復元できない程度にマスキングすれば、番号法上の提供制限の適用を受けないことから、個人情報保護法第25条に基づく開示の求めによらず、支払調書等の写しを本人に送付することが可能である。(平成27年4月追加)

 

9.番号法第19条各号のいずれにも該当しない特定個人情報の提供の求めがあった場合、どのように対応することが適切か。
→特定個人情報の提供の求めが第19条各号に該当しない場合には、その特定個人情報を提供することはできない。なお、その特定個人情報のうち個人番号部分を復元できない程度にマスキング又は削除すれば個人情報保護法における個人情報となりますので、個人情報保護法第23条に従うこととなりる。

 

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