労働契約法改正、無期労働契約への転換(第18条)

▼平成25年4月1日施行

 

有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、

期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール 

通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象。

 平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間に含めない。

 

△条文

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第18条 同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約

     (契約期間の始期の到来前のものを除く。)の契約期間を通算した期間

     (通算契約期間)が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している

     有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から

     労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは

     使用者は当該申込みを承諾したものとみなす

     この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である

     労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件と

     同一の労働条件別段の定めがある部分を除く。)とする。

   

    2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と

     当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間に

     これらの契約期間のいずれにも含まれない期間(空白期間)があり、

     当該空白期間が6月(直前に満了した一の有期労働契約の契約期間が

     1年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に1/2を乗じて

     得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、

     当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、

     通算契約期間に算入しない

 

■申し込みについて

・有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、

その契約期間の初日から末日までの間に、無期転換の申込みをすることができる。

・この申込みは、労働者の権利(無期転換申込権)であり、申込みをするかどうかは

労働者の自由である。

・申込みは、口頭で行っても法律上は有効であるが、口頭での申込みは、後日、

申込みをしたかどうかの争いが生じやすいという問題があるので、書面が望ましい。

 

■転換について

 無期転換の申込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約

がその時点で成立し、申込み時の有期労働契約が終了する翌日から無期に転換される。

 

■無期労働契約

 無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、

別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となる。

※「別段の定め」とは、労働協約、就業規則、個々の労働契約(無期転換に当たり労働条件

を変更することについての労働者と使用者との個別の合意)が該当する。

▲この場合、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、

無期転換後の労働条件を低下させることは、望ましくない。

 

無期転換労働者という新たな定義=就業規則が必要とされる!!

 無期転換した場合の労働条件については、労働者と使用者の間で認識に齟齬がないよう

に、あらかじめよく確認し合うとともに、無期転換前と異なる労働条件を適用する必要がある

場合には、労働協約、就業規則、個々の労働契約で定めておくことが必要である。

 特に、定年など、有期契約労働者には通常適用されない労働条件を無期転換後の

労働条件として適用する必要がある場合には、あらかじめ労働協約、就業規則、

個々の労働契約によりその内容を明確化しておく必要がある。

 

■更新について

 無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、

あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることはできない。

法の趣旨から、そのような意思表示は無効と解される。

 

■通算契約期間の計算とクーリングについて

 有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上あるときは、

その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めない。(クーリング

 

■通算契約期間のカウント方法

(1)同一の使用者ごと

 同じ事業主の事業場(事業所)間の異動であれば、契約期間は通算される。

 

(2)労働契約の存続期間

 育児休業などで勤務しなかった期間も、労働契約が続いていれば通算契約期間に

カウントされる。

一方で、有期労働契約の前後に契約のない期間がある場合、その期間は

通算契約期間にカウントされない。

 

(3)暦を用いて、年、月、日の単位

 契約期間の初日から起算して、翌月の応当日の前日をもって「1ヵ月」とする。

複数の契約期間について1ヵ月未満の端数がある場合には、その端数どうしを合算した後に、30日をもって1ヵ月に換算する。

(例)

 前の契約 平成25年4月1日~同年7月20日 (3ヵ月+20日間)

 次の契約 平成25年8月5日~同年10月2日 (1ヵ月+28日間)の場合

 → (3ヵ月+20日)+(1ヵ月+28日)

  =4ヵ月+48日

  =5ヵ月+18日となる。

 

無期転換ルール本格化

 

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